24時間タイムラインの争奪戦
著者: 髙橋 ピョン太子供時代、青春時代をゲーム三昧で過ごしたという根っからのゲーム好きの方々も、最近は「忙しくてゲームで遊んでないなー」とか、「ゲームで遊びたいんだけど、時間がかかりそうなゲームはちょっとなぁ……」なーんていう状況だったりしませんか? おもしろいゲーム、本格的なゲームは、特に時間がかかるという先入観からなんとなく敬遠しちゃっているということもゲームをプレイする人々の意識の中に強く生まれている今日この頃です。かくいう私も実はゲームをする前から、ちょっと大変そうということで尻込みをしている時期が続いております。特にゲームが嫌いになったわけじゃないんですよね。でも、結構、それを理由にゲームを買わなくなりました……。
さてさて、それでは昔は時間があったんでしょうか? 仕事や勉強が今よりも暇だったんでしょうか? 実はそうじゃないと思うんですよね。人間、どんなにお金持ちでも、たとえ貧乏でも、また日本人でも、アメリカ人でも、立場や人種などに関係なく全ての人に平等に1 日24 時間という時間が与えられています。というか、24 時間しか時間はないとも言えます。そんな貴重な24 時間が、実はこの10 年ぐらいの間にとんでもないぐらい強力なエンターテインメント(エンタメだけじゃないですけど)に占拠され始めているんです。これまた自分の話ですが、この10 年間の時間の使い方で最も増えた時間の消費に、インターネットへのアクセスがあります。会社でアクセス、家でもアクセス、そればかりか通勤、通学の途中にスマートフォンでアクセス、寝るとき以外のほとんどの時間をインターネットのアクセスに費やしているんです。ヘタをすると、寝ているときもすぐそばにスマートフォンや携帯電話は置いてありますから、いつでもどこでもアクセスOK なんですよね。
はい、止めどもなく現状の時間の使い方について語り続けていますが、それとゲームクリエイターが知るべきことと何の関係があるんでしょうか? 実は私が言いたいのは、これからのゲームやゲーム機は、この限られた24 時間の中にどう食い込むかが最も重要なポイントであること、だと思っているんです。昨今、ゲームが売れる売れないという議論がありますが、そもそもゲームに限らず、音楽、テレビ、雑誌などなどあらゆるものが売れなくなってきている時代です。この全ての原因がインターネットの存在だというのは極論過ぎますが、しかし、インターネットでつぶやいたり、SNS を覗いたり、はたまた動画を探しては視聴したり、ときには自分で作成したりするという時代ですから、それはもう全てのエンターテインメントは、この24 時間という時間を争奪してやろうというぐらいの気構えでいかないと大衆の支持は得られないんじゃないかと思われます。ゲームを作る上で最も重要なのは、人々の24 時間というタイムラインのどこで遊んでもらうのか、せめてゲームをしようと思うきっかけだけでもそのタイムラインのどこかに入ってやろうという意識を持っていただきたいのです。
そのひとつの方法として、スマートフォンアプリでゲームを作るのもいいでしょう。またTwitter やFacebook の連動でもいいのかもしれません。ソーシャルゲームではガチャの射幸心をあおる点ばかりが取り上げられていましたが、実はうまく我々の24 時間のタイムラインに滑り込んでいるという点において、他のエンターテインメントと比べてみても、かなり優位性が高いんですよね。しかも時短アイテムで時間までお金で買えてしまうという……。とあるゲームでは、45 ~ 50 分後に体力が復活するように作られていましたが、これ何の時間かというと、中学や高校の授業の時間50 分(平均)に合わせた時間で、つまり次の休み時間には体力が回復しているんです。流行るゲームはそこまでタイムラインを気にしているんですねー。
というわけで、これからのゲームのポイントは、24 時間のタイムラインの争奪です!!