ヘンテコにおもしろい小さなゲームを作ろう
著者: 長 健太最近のゲームは高クオリティで大規模です。何十人が何年もかけて1 つのゲームを作るのも商用ゲームでは珍しくなく、小規模といわれるインディーゲームや、それこそフリーゲームでも、1 つのゲームを作るのににかかる時間は、昔と比べるとだいぶ長くなっています。
大きなゲームが当たり前になった最近、ゲームを作るということは、ひどく敷居が高くなったように思えます。もっと小さなゲーム、例えば1 人がのべ1 日、24 時間くらいがんばれば作れるゲームは、もう今の時代には作る価値がないのでしょうか。
そんなことはありません。小さなゲームは新しいアイデアが詰まったゲームを手軽に試せるゲームの試験場であり、ゲーム作り初心者の遊び場としても最適です。
小さいゲームを作っては捨て作っては捨て
小さいゲームのいいところは、失敗してもダメージが少なく、捨ててすぐ次のゲームに取り掛かれるところです。アイデアとしては新しいと思うけど、おもしろいかどうかわからない、今までにないゲームでも、まずは小さく作ってみて、ゲームの手触りを確かめることができます。
こういったゲーム作りの進め方は、いわゆるプロトタイピングと呼ばれる、大きなゲームのコンセプトをテストするためのサンプル作りのようなものですが、その後に大きなゲームを作る必要は必ずしもありません。プロトタイプを遊べるゲームにしてそれで終わり、という気軽な方法もアリだと思います。
小さいゲームで思いついたアイデアを落書きしよう
でも、プロトタイプを遊べるゲームにする、というのは実はそんなに簡単ではないです。プロトタイプはとても小さなものなので、最初に思いついたアイディアそれ1 つで、遊んで楽しい、それでいて何か新しいものにする必要があります。なので、普通のゲームでは見かけない変なルール、ギミックをアイディアに盛り込んで、今までのものとは違う感を出すことが大切です。
「自機が分裂して沢山になるのはどうか」「やっつけた敵が自分にくっつくのはどうか」「人でなくて地面のほうを操作できるようにしたら」「普通キー操作のゲームをマウス操作に」「プレイヤーと敵を逆に」「昔の自分が敵に」「10 秒で終わるゲーム」などなど、アイディアをいろいろ思いついたとして、次の問題は、どれも遊んでおもしろいか全くわからないことです。とても斬新でとてもおもしろくないゲームができることはしょっちゅうあります。
なので、まずそのアイデアをちゃんと遊べるゲームにして、おもしろくなかったら捨てるという短いサイクルを繰り返す。これが遊べるプロトタイプ、遊べる小さなゲームを作るコツです。アイデアをノートに落書きする感覚で、小さいゲームをさくさく作れるようになるのが理想です。
ブラウザゲームは小さいゲームの友達
Flash、HTML5、Unity、最近はブラウザで遊べるゲームを作る方法がいろいろあります。手軽に遊べる小さなゲームと、ページを開くだけで簡単に遊べるブラウザゲームの相性は抜群です。ブラウザゲーム専用サイトを使えば、スコアボードを付けたり、プレイヤーからコメントをもらったりも簡単にできます。
そのゲームがおもしろいか、おもしろくないか、こういったサイトで多くのプレイヤーの意見をもらえれば、一人よがりでない評価ができますし、評判が良かったゲームはそのアイデアを元に、より大きなゲームに育ててもいいでしょう。
ゲーム作りゲームを楽しもう
ゲームを作るゲームは、世の中にあるゲームの中で最高におもしろいゲームです。その中でもいろんなゲームアイデアを妄想すること、それを形にするところのおもしろさは格別。ゲーム作りゲームの最高の部分をしゃぶりつくせる小さなゲーム作りを、みんなで楽しみましょう。