やればできる、だから勇気を持って踏みだそう
著者: 佐藤 充2012 年11 月17 日、ぼくたちは福島県郡山市でIGDA 東北として初めてのゲーム開発イベント「FUSE 01」を開催した。
そのイベントには、福島県を中心として北は青森県、西は神奈川県から総勢38 名の「開発者」が集まってくれた。集まった38 人を10 の即席チームに分けてテーマを設定し、6時間でゲーム開発を行うイベントだ。
開発者にとって満足いかないイベントになってしまうんじゃないか……ベンチャー企業でゲーム開発をしたり、いくつかの映画祭で実行委員や、VJ としてクラブイベントに参加してきた自分が、見よう見まねで始めたゲーム開発イベントが成功するかどうか、不安だった。
なにしろFUSE は、ゲーム開発においては本当に短い、6 時間でゲームを開発するイベントだったから。
FUSE 開催に至る発端は2011 年8 月27 日。IGDA 日本(現在はNPO 法人)が福島県南相馬市で開催した「東北IT コンセプト 福島GameJam in 南相馬 2011」に始まる。このGame Jam に自分は運営側として参加し、自分が映像を教えている専門学校の生徒たちを郡山から連れて行った。2011 年の福島GameJam は、東京・福島市・仙台市からバスの出発だった。東京は前日。福島市と仙台市は当日の早朝に駅から出発。南相馬市の「ゆめはっと」に到着して開会式を経て、30 時間の企画・開発時間。
そして東北から参加した彼らは、チームの一員としてゲームを完成させた。
もちろん、福島GameJam は東京からプロがやってきて、そのプロと一緒にゲーム開発を行った。そりゃゲーム開発できて当然だ。でも、たとえそうだったとしても、ゲームを開発できたことには間違いないのだ。
最初の福島GameJam から1 年と少し経った頃にFUSE 01 は開催され、集まった開発者は年齢や性別など関係なくゲームを開発し、6 時間後に発表した。
初めてのFUSE は無事に成功することができた。
ただ、予定と違ったのは参加者からの要望。それは、FUSE 02 がいつ開催されるのか。年を越したらGlobal Game Jam が待っているのに、開発したいという要望が多い。そして、急遽12 月にも開催することに。
FUSE 02 からは、開催の1 週間前にテーマ発表と最初のチーム発表を行うようにした。なぜなら、会社でプロトタイピングをするなら、少なくとも開発の前に打ち合わせを繰り返しているはずだし、会社にいて用意した時間で開発するはず。
だから開催の一週間前にテーマ発表と最初のチーム発表を行い、申し込み締め切りの翌日までは毎日チームへのメンバー追加を行うことにした。そして開催当日は会社に勤めているのと似たような時間でプロトタイピング。
実は、以前勤めていた会社で似たようなことを試みていたことがあった。
それを思い出させてくれたきっかけは、FUSE 01 で講演してくださった株式会社ユビキタスエンターテインメントの清水亮社長だ。
IGDA 東北も東北のゲーム開発コミュニティもまだ始まったばかりだけど、2013 年1 月にはGlobal Game Jam 2013 ふくしまを開催し、FUSE もあれから毎月開催され、毎回30人を超える参加者がいる。IGDA 東北が主催するゲーム開発イベントでは、2013 年3 月までに県内外から、のべ180 人を超える開発者の参加と、20 本を超えるゲームを開発した。
やればできる。だけど、やらなければできない。だから、勇気を持って踏み出そう。* FUSE で開発されたゲームは、IGDA 東北のWeb サイト(http://www.igda-tohoku.org)よりダウンロード・プレイすることができます。ぜひプレイしてみてください。